中医学臨床 子宮筋腫
概要
子宮筋腫とは、子宮の壁に平滑筋でできている良性の腫瘍しゅようです。 発症すると徐々に大きくなって下腹部痛や貧血などの症状が出ます。
子宮筋腫は女性ホルモンの影響を受けて大きくなることが知られており、女性ホルモンの分泌が盛んになる20歳代頃から発症しやすくなります。そして、閉経を迎えて女性ホルモンの分泌量が激減すると徐々に小さくなっていくことが分かっています。
不妊症の原因になったりするため、薬物療法や手術が必要になることもありますが、漢方薬で、縮小が期待できます。
症状
子宮筋腫は月経量が多くなり、生理痛が増強するのが特徴です。そのため、貧血になりやすく、また、筋腫が大きくなると月経時以外にも下腹部の痛みや重苦しさ、不正出血が生じ、腰痛や頻尿を伴うこともあります。
さらに、子宮の内側に向かって飛び出すように発生するケースでは不妊症の原因になることもあり、子宮の壁の中に発生するケースでは流産や早産を引き起こす原因になることも知られています。そして、子宮の外側に向かって大きくなるタイプの筋腫はこれらのような症状が現れにくいものの、筋腫の根元がねじれると激烈な痛みを引き起こし、場合によっては筋腫への血流が途絶えて壊死を引き起こすこともあります。
検査
内診、経腟超音波検査、MRI検査、血液検査(貧血、腫瘍マーカーCA125等)
治療
偽閉経療法: GnRH(ゴナドトロピン放出ホルモン)アゴニストあるいはアンタゴニストといわれる薬剤によって卵巣の女性ホルモン(エストロゲン)産生を抑えて筋腫を縮小させるもので、閉経が間近い場合や、重篤な合併症のために手術を避けたい場合などに行われる治療法です。投与方法は、G筋腫だけを取り除く子宮筋腫核出術の前治療としても有効です。治療中は無月経となるため症状は改善します。卵巣機能が抑制されるため更年期様の症状がみられます。骨量減少などの副作用もあることから6ヶ月以上の長期使用はできません。使用を中止すると子宮筋腫は再度大きくなり症状も再発します。
対症療法: 子宮筋腫による過多月経、過長月経、月経痛などの症状を緩和するのを主な目的とする治療です。
鉄剤:過多月経や過長月経による貧血に対して鉄剤が処方されます。
非ステロイド性抗炎症剤:月経痛などの月経困難に対する疼痛コントロールを目的として投与されます。
低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤(LEP製剤):月経困難を軽減することを目的とした治療方法です。子宮筋腫自体を小さくする治療ではありません。稀ですが血栓塞栓症などの重篤な副作用がみられます。
漢方薬根本療法
子宮筋腫(症瘕といい)中医学の原因、分類
気滞型
女性情緒失調、気の巡りが悪くなって、肝気鬱滞、血行受阻、瘀滞胞宮で、筋腫が発生。
瘀血型
多産、房労で、腎気が損傷され、腎虚で冲任不充、血海失司、古い瘀`血が子宮に停滞、 長い間、蓄積して筋腫になる。
湿熱型
生理後、出産ご胞脈が空虚、湿熱の邪が子宮に停滞、血と凝集して筋腫になる。 或いは、脾虚で水の巡りが悪く、湿が発生、下焦に流れ込み、湿熱に変わり、血行に影響を及ぼす、湿熱と瘀`血一緒で筋腫になる。
寒湿型
産後虚弱で、寒湿が子宮に侵入、或いは冷たいものを食べすぎ、寒凝血滞で、長い間、 筋腫が発生。
痰湿型
食べ物不注意で、脂肪分を多く取ったり、冷たいも物を食べたりして、長い間、十分消化できず、湿がら痰が発生、塊ができた。
子宮筋腫(症瘕といい)の中医学弁証治療
気滞型
症状:下腹部が張る、痛いところが明確に固定しない。舌苔白潤、脈沈弦。
治療:香棱丸加減
瘀血型
症状:積塊が固くて、押すと痛い、生理血がどす黒い、塊が混じってる。舌苔暗赤、瘀点、脈沈渋。
治療:芎帰調血飲加減
湿熱型
症状:おりものの色、質、匂い異常、咽乾き。舌苔黄膩、脈滑。
治療:黄連解毒湯加減
寒湿型
症状:痛い、手足冷え。舌苔白滑、脈沈細。
治療:温経湯加減
痰湿型
症状:下腹部痛い、塊が柔らかめ、肥満、胸が苦しい。舌苔白膩、脈滑。
治療:二陳湯加減
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