中医学臨床 変形性関節症
病態・症状
関節症では機械的刺激などにより軟骨の変性・磨耗を生じ、また関節周囲を取り囲む滑膜の炎症が併発して変性が加速します。同時に関節周囲の骨軟骨形成などの増殖性変化を伴うこともあります。
それらの変化により血管増生や神経線維の増生をともなう関節包の線維化が起こり痛みが感じやすくなります。
病態と症状の関連としては、関節炎に伴う自発的疼痛と腫脹、腫脹による動かしにくさや可動域制限が生じます。
軟骨磨耗の進行により関節炎が起こりやすくなり、疼痛を感じやすくなります。
軟骨が消失すると関節への負荷により疼痛を生じやすくなり、可動域制限が増悪し、動かしにくくなります。骨棘形成が進行すると関節拘縮を起こしやすくなります。
検査・治療
X線(レントゲン)写真による骨棘形成、関節裂隙の狭小化、軟骨下骨の硬化、関節裂隙の消失などで診断します。
治療法として、軟骨磨耗の防止に効果的な治療法は確立されていません。関節症の悪化の防止には適度な運動負荷と肥満の改善や労働量の調節、関節炎のコントロールが必要です。
変形性関節症の古典医書記載
◎古代著名医書《内経》には、“病在骨 、骨重不可拳 、骨髓酸痛 、寒气至 、名曰骨ひ”。
病名については「骨び」と呼ばれます。
◎《素問・へ論》には、“風寒湿三气雑至合而為ひ也、其風気甚者為行ひ、寒気甚者為痛ひ、湿気甚者為著ひ。”
《内経》には、“腎陽衰弱 、寒湿入骨”。
原因については、風、寒、湿と関連性があり、また内部の腎陽不足が指摘された。
変形性関節症の中医学治療
風寒湿ひ
治法:去風、散寒、逐湿、補肝腎,活血通絡止痛。
方薬:三び湯、防己湯加味。
独活 12g 防己 12g 秦ぎょ 10g 当帰15g 白芍 10g 川きゅ 9g 生黄ぎ 30g 桂枝 10g そう白術 各12g 云苓 15g 細辛 9g 威霊仙 30g 蜈蚣 2条 炙甘草 6g
お血び阻型
活血化お,通絡止痛
方薬:身痛逐お湯加味
桃仁 12g 紅花 12g 当帰 12g 五霊脂 9g 地? 15g 川きゅ 9g 没薬 9g 香附 9g 羌活 9g 秦ギョ 12g 牛膝 15g 甘草 6g
痰血阻絡型
活血化お,去痰除湿
方薬:桂枝茯苓丸加味:桂枝15g,茯苓20g,牡丹皮12g,赤芍15g,桃仁12g(打),当?12g,川きゅ12g,威霊仙15g,続断15g,牛膝15g
肝腎不足
滋補肝腎,舒筋活絡
方薬:六味地黄丸加味
熟地 12g 茯苓 15g 山薬 15g 山茱萸 12g 丹皮 9g 沢瀉9g 当帰 12g 白芍 12g 桑寄生 12g 杜仲 12g 補骨脂 15g 鶏血藤 15g