中医学臨床 不妊症
三、中医学から考える不妊と治療
中医学は、不妊・不育症を五臓や気血水のバランスの崩れによるものだと認識し、それを治すのもアンバランスに陥いている五臓の機能を整え、本来自分の体に備えている妊娠力を引き出すことです。
結婚が遅くなると、妊娠する確率が低い上、妊娠しても流産してしまうケースも多くなります。原因は卵子の老化です。女性の卵子の数は年齢ととも減っていきます。ですから、妊娠の確率を高めるためには、卵巣に残された卵子をいかに大切にすることになります。
1。.質の高い卵を作り、黄体機能を良くする
丈夫な卵を作るには、自然の力しかありません。
2。(古い汚い血)を取り除く
子宮内に古い血が滞っていると卵が着床できません。牡丹皮、桃仁、大黄などの薬草を使い、古い血を洗い流します。
3。お腹(子宮・卵巣など)を温める
鳥が卵をかえすときに温めるのと同じで、人間の身体も冷えていては卵がしっかり育ちません。当帰、呉茱萸、細辛などお腹を温める薬草を使います。
4。動物性生薬を使った「補腎法」
高齢の方でも、適切に腎を補うことによって卵巣が若く、働きが良くなり、より良い卵子の排卵が期待できます。
四、中医学周期療法
中医学では、生理周期は腎の陰陽転化を表している。腎の陰陽失調は、生理不順、無排卵、黄体機能不全、不妊になります。腎の陰陽転化の規則に従って、陰陽を調整することは、妊娠できる体作りの非常に有効な方法です。周期療法で、卵胞の良い発育と成熟をし、排卵も促進、黄体機能を良くします。
生理周期を四期-生理期、卵胞期、排卵期、黄体期に分けて、四期内陰陽気血の変化特徴によって、違う治療方法をとらえる。生理期には補気活血で、生理の血をスムーズに流す、卵胞期には腎陰腎気を補い、卵胞の良い発育と成熟を促進、排卵期には行気活血薬を加え、 排卵を促進、黄体期には腎陽を補い、黄体機能を良くし、受精卵の着床育ちを目指す。
生理周期四期の漢方薬
生理期 当帰芍薬散。四君子湯。左帰丸。
卵胞期 生理が終わってから、排卵前まで。左帰丸。
排卵期 桂枝茯苓丸、四君子湯。
黄体期 高温期から次回の生理が来るまでの間。右帰丸。
漢方治療は、自然妊娠を希望されている女性だけでなく、人工授精や体外授精などをすでに行っている方も、併用で妊娠の確率が上がります。
以上の処方は、基本的なもので、人によって、体質や病状が違うので、中医専門家と相談したうえ、一番合う漢方薬を選ぶことが大切です。
また、漢方薬で体調を改善しながら、食事や睡眠など生活養生についても、必要に応じて助言させていただいております。
中医学不妊のメカニズム(性腺軸)      男女不妊原因と弁証治療      臨床研究レポート
トップページへ